キムチ納豆
藤鈴呼


伸びやかな糸の向こう側に掛かる虹を
黙って見ていた

辛いのは嫌いだって言ったのに
辛子が大量投下されている

糖化処理する訳にも行かぬのだから
銀のスプーンで救い上げる

もしかしたら
足元を掬われた方が楽だったのかも知れないと
訝りながら

青白い顔をして栄養失調だなどと呟くな
少しウォーキングでもしてみたらイイ

先ずは泥だらけのスニーカーを履き替えて
吐く息の白い時間帯に目覚めることを考えな

今と向こうと昨日の夢
どれを取るかが問題
ドレミとラララの音階の差などに
きっと意味なんてない

背中から流れる赤色のマスタード

ブルドック
ホワイトソース
ラスタ

固いラスクをパリッと齧る瞬間だけに
真実が隠されている

それが真実なのか
錯覚なのか
死角のなったリアウインドからじゃあ
何も見えない

フロントガラスだったってダメだ
今は夜だから
全てが暗黒に 包まれている

包まれている
これは糸だ

君はミイラじゃないけれど
何かにくるまれている

暗がりの中で
もう少し光が欲しいと泣いている

いつでも
どこでも

糸の向こうに見えるのは
きっと 青空

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 キムチ納豆 Copyright 藤鈴呼 2016-07-14 22:48:02
notebook Home