そこな女
坂本瞳子

艶めかしい肌は
指の腹で軽く抑えると
水が溢れ出しそうなほど

貝のように整った形を成した
耳に後ろから息を吹きかけると
肩を竦めて首を傾げる

華奢な爪先の繊細な小指は愛惜しく
食べてしまいたくなるのを
制するように誘うように

永い豊かな黒髪を故意に振り乱し
掻き上げては魅惑の眼差しを輝かせ
微かに轟かせる喘ぐ声は

どこで調教された仕草かと
呆れてはしまうけれども
なんともはや止められない


自由詩 そこな女 Copyright 坂本瞳子 2016-07-08 22:59:58
notebook Home 戻る  過去 未来