でも俺シャイン
奥畑 梨奈枝
神社の鳥居の下で倒れた
おじいさんに若さをあげたい
もう何も言わない
ぴくりともしない
髪の毛一本が風でふわりと飛んでいく
光れる救急車が
ぜえぜえ言いながら交差点を曲がり
絶叫しながらこちらに向かって飛んでくる
俺を轢いてくれ
バケツ一杯の水より軽い俺やから
思い過ごしかもしれへん愛情を
器いっぱいに貰いながら
自らを雑草であると薄々と気付く
バイト代が入らない日々が続いていく
自分のことを棚に上げて
俺を責める人達
彼らを殴りつけながら
コルナを作って見せたところで
ロックスターにはなられへん
もはや財布には珈琲を買う金もあらへん
剥げていくメッキ加工
公務員の夢は砕け散り尿道を傷付けた
股をおさえて感じる
貯蓄の涸渇と精神の貧困
甘やかしてくれる父母や彼女の瞳が
刺さる視線に変わって
でも俺シャイン
秋と共にすぎてゆくという時間を
未だに信じられないでいる
青春の輝きの誤作動で
俺は生きてんねんな
彼女の微笑む顔を少しずつ忘れながら
川の水を少し啜って
自転車を押して穴に帰ろう