始まる
坂本瞳子

窓の隙間から強めの風が吹き込み
カーテンが揺れる
遠くで響く救急車のサイレン
真夜中だというのに
世の中は動き続けてる
マラソンランナーの足音
バイクの急ブレーキ
呑んだくれ親父の雄叫び
誘発される犬の遠吠え
公園の水飲み場の蛇口は締められた

雲が流れ
月はただ静かにそこにある

雲の切れ間
月が光を放つと
何かが始まる
朝がやって来る前に
始まりが訪れる


自由詩 始まる Copyright 坂本瞳子 2016-06-25 01:15:34
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