静止するとき
坂本瞳子

力の限りに走っているのに
ふんわりとスローモーション
もうすぐこの世の中が
終わってしまうのだろうか
一滴の雨が頬を伝う
生える緑の匂いが鼻を突く
右足が地に着くと
ずしりと沈み
ボタンを踏みつけてしまったようだ
このまま両手を広げて
動かないでいよう
風に強く吹かれようとも


自由詩 静止するとき Copyright 坂本瞳子 2016-06-23 22:51:17
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