青い光のもとで
小川麻由美

満月に高層雲のメスが入った
よく見る光景だ
私は成り行きを見届ける
通り過ぎたメスの後
何事もなかったように
光々と輝く満月
ほっとした私は息を吐き出し
メスの行方を探したが
散り散りになった雲の残骸しかない

満月の青い光
月光浴を楽しむ
私の全身は青く染まる
満月の光は 一生懸命輝こうとする
星々の光を無きものにする
今宵はいつも見たいと思う恒星の
輝きまでもが奪われてしまった

人々が知らぬ間に輝く月光
あまたの人々が虜となり
数えきれない程の詩が
息吹きを上げたことだろう
満月の元では隠しきれない

私の羞恥心は上弦の月に奪われ
奏でられているであろう
弦の震えに夢中になる
星々を数え 気が遠くなり
無限の上辺を伺ったような傲慢さ
恥ずべき傲慢さは すぐに
私の身の丈を小さくする

身の丈が小さくなった私に
相変わらず降り注ぐ月光
月光の青に包まれた私は
かすかな音と共に花咲き
可憐さを帯び次第にほぐれる
私を取り戻し胸を広げ
青の無限に身を任せる


自由詩 青い光のもとで Copyright 小川麻由美 2016-06-20 03:34:36
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