領域
あおい満月

何かが足りない朝。
足りないのは眠りか、
ことばなのか、
前頭葉にかすみがかかる。

指を伸ばすわずかな距離に、
フィルターがかかる。
誰もが犯したくなくて、
犯してしまう領域。

私はいつも、
部屋を開け放している。
よく晴れた朝ほど、
何もはいってはこない。

きみのなかに入ろうとすると、
少しどきどきする。
きみの微笑みは可愛いけれど、
ほんの少し怖い。

求めていなさい。
と誰かがいう。
そうすれば誰も入ってこないから。
向かおうとするときみは逃げていく。

逃げろ、逃げろ、
私はきみの後ろ姿を楽しむ。
きみが逃げると、
私は服を脱ぐように気持ちがいいから。



自由詩 領域 Copyright あおい満月 2016-06-17 22:25:39
notebook Home 戻る