風信びより
梅昆布茶
貴女の母国の言葉を教えてください
いつまでも話していたいから
貴女の好きな花を教えてください
部屋いっぱいに飾り付けてみたいから
貴女の好きな小径を教えてください
ときどき散歩に誘ってみたいから
あなたのこころに吹く風の色は鈴蘭の
小花をゆらしいつかわたしの山脈にも吹き渡るでしょう
岬から遠望するきらめく海はきっと
貴女のこころへと繋がっていると思うのです
尊敬するあなたへまた手紙を書きましょう
僕がたいせつに思っているすべての物事
雷鳴や雨の匂い
苔生した田舎家のたたずまい
ニーチェのあまりに詩的な箴言の美しさ
キリストの哀しみと仏陀の平安
そんなこんなを気儘にふみにします
貴女に届くでしょうか
届かずともどこかであなたの心揺らす風になればそれでいいのです
人世は一陣の風あるいは驟雨にすぎないのですから