TOO TO TOO TOO
竜門勇気

罠を見つけて近寄る
さまよい続ける放浪の記憶が
死んだガスになっている
死んだまま声を荒げてる

ガススタンド ここは放火魔が眠る場所だ
すべての道の上で夢を見るために
ハンドルのことを忘れて

朝の光について
さまよい続けていた放浪の亡骸が
ゴミ箱から10面ダイスを拾って
アテのないロールに寄っている

これは君たちの話だよ

これは不明の夜
これは未明の喪失

これは大事なものがなくなるときに見える景色じゃないよ
これはそのあとに来るものだよ
僕は鍵のようなものだったんだ
すり減りすぎて
もうどんな世界にもハマって
もうどんな世界の景色も見れない
気づきすぎて傷つけれない
全てが幸せになるボタンを押す
僕が見てたら不都合なものは見てないし
わかってはダメなものの前では普段より馬鹿になる
泣きそうなときほど上手に笑ってる自信がある

わざと逃げたふりをする前夜
あとからつけたした
今より情けない言い訳
自壊を装う自尊心
ゴミ箱から10面ダイスを見つける
手に取る前に声が響く
ファンブル!

ガスの人たち
液の人たち
定点放浪 制限開放
監視カメラより少しマシン
ナイフよりかなり人

思い出すのはハンドルから手を離した時の
温かい気持ちだけ
ファンブル!
懐かしいのは痛みだけ
昨日見た景色に何が足りないかよく分かる

ガススタンドで目が覚める
壊れた給油塔のなめらかな壁の中で
思い出すのは記憶から手を離した時の
温かい気持ちだけ


自由詩 TOO TO TOO TOO Copyright 竜門勇気 2016-06-16 22:48:02
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