子守唄/深夜の霧は罪のように 明け方の雨は幻のように
銀馬車でこい


静かな呼吸から寝息へ
移ろいは 深い罪
霧のように


夜の霧 深すぎて
そこは天国ではなく寺院ではなく
神社ではなく教会ではない
誰も手を触れることない
水滴は 都会の電柱と電線
縒り集め 縒り直して
霧の天気予報を伝えるための
電気を探し続けるように
夢の中に沈黙する
道の果ては 霧


人生とは何かの
意味を知ろうと思ったら
早朝起きてすぐ飲む
缶コーヒーを買った後
ポケットに入れて
苦いブラックコーヒーが
飲みたいと思って
黒い暗闇が飲みたいと思って
夢と云う霧の中を
走り続ければいい
深い霧の途中
道の果て 捜せ



夜の都会のすべて
黒い空だとしたら
すべての罪は
電気か幻だろう
罪があっても許されて
生き延びている命に
霧は 暗闇よりも深く
伝記にあらわされた或る人生にも
何らかの罪状が捧げられて
詩になるかもしれない
電気と
命になるかもしれない
電流で
出来た霧は
そう云うような霧は
きっとあらゆる罪を
隠しながら
夢の中の道の果てへと続く


深夜 誰かの寝息は
生まれたばかりの命に
罪がないことを伝えながら
すでに海中に沈んでいる
帆船を背負いながら走り続けて
脇を小さな魚が泳ぎながら
星はもう見えない黒い空
追い越していった
暗闇より速く魂 眠れ



深い霧は 明け方には
幻の冷たい雨へ


自由詩 子守唄/深夜の霧は罪のように 明け方の雨は幻のように Copyright 銀馬車でこい 2005-02-26 00:36:14
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