葉leaf



氷の粒が背筋を下っていった
この氷はほんとうの愛のかたわれ
歌われることさえ禁じられた愛の
遠くて近い末裔がいま
背筋から皮膚全体に広がり
太陽が一つ終わっていった
お前はもはや風景に紛れて
現在という壁に名を残せない
お前に向けられた蟻の巣のような意志は
もはや氷でふさがれてしまえばいい
俺は仮定された契約から義務を殺し
体が一つ断ち切られた後のように自由だ
すべてをこの氷に閉じ込めたまま
氷を壜の中に検体として保存し
俺は南へと向かう新しい橋を渡り始める


自由詩Copyright 葉leaf 2016-06-05 16:38:24
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