旅人
レタス

永遠を旅する人は
時計という余計な物は持ち合わせていなかった

通り過ぎてゆく
傍らの花や青葉や
水や石を瞳に映し
旅を続ける

旅人の血液は
青く透明で
鼓動も無く
さらさらと流れていた

歩みは軽く
時折鼻歌を歌い
琵琶と篠笛を奏でながら
おひねりを与えられ

匙と椀を懐に忍ばせて
明日への旅を続けてゆく

旅人は人間ではなく
中空を彷徨う精霊のようなものだった

小鳥のついばむような糧を得ながら
また明日を旅する





自由詩 旅人 Copyright レタス 2016-06-05 01:32:16
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