イレイザーヘッド
wakaba

君のその変色した合成樹脂みたいな脳みそから
濁ってる記憶だけを取り出して
映写機に装填してレトロ上映会を開きたい

僕があの頃の君に惚れていたかどうかなんて
そんなどうでもいいくだらないことは
君の想像にお任せします

僕らの記憶は不燃化物質
プラスチックみたいな燃えないゴミ
処分場所をたらい回しにされて
さまよい続けている無様な記憶

可哀想な振りをしてる君は
誰もいない上映室にしゃがみ込んで
泣きじゃくって可哀想な振りしてる
悲劇のヒロインの振りしてる

知らない振りをしてる僕は
泣きじゃくる君に気づかれないように
適度な間隔を開けて知らない振りしてる
なにも解らない振りしてる

ふたり共依存の真似事をして
ふたり狂依存のお芝居をして
三半規管が吹き飛んでエンドロール

あらすじなんて申し訳程度のおまけみたいなもので
鉛筆の頭についている消しゴムのような存在
少し力を入れただけで千切れる存在
気付いた頃には廃棄処分です

消してしまいたい現実だけが
如何してか消しゴムのカスのように残り続る
増えて積み重なれば
たちまち吹き飛んで意識不明の繰り返し

明日はプラスチック不燃ゴミの日
後始末が終わったら
さよならしましょう見送りますから

僕が君のことを嫌いになったかどうかなんて
そんなどうでもいいくだらないことは
君の想像にお任せします


自由詩 イレイザーヘッド Copyright wakaba 2016-05-29 13:24:17
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