がんと共に
小川麻由美

医師の言葉に呼応して
治療を始めた
余命半年は拭えた
(彼女はどこ?)

3週間×13
ずっと増え続ける数字
たかが数字 だが重い
できる事はする
頑張れ 私の内臓

今では何処へも行ける
杖に頼れば
行きたい場所に行ける喜び
ベリーショートのスタイルで
小生意気な女のよう

鏡には隠し切れない私が居る

測定不能な腫瘍マーカー
今では笑い話にさえなる
もうろうとした意識
そんな時の事なんて
覚えてなんかいない

死を垣間見ると
恐怖より孤独感が勝つ
それを抜けた
死は孤独
当たり前だが
それを実感した

皆を置いて行けない
しかしながら不可能
死には しばらく待ってもらう
日々の工夫で可能になるなら
私は生きる


自由詩 がんと共に Copyright 小川麻由美 2016-05-20 19:41:34
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