夏来る
マチネ

上に向かって散っていく桜がこんなに美しいなんて
新緑は忍びよって春を殺していくのです
さつきが首ごともげて転がり
錆びたトタンがもっとも正当になる季節
あなたは必ずくだものを欲しがってスーパーマーケットに行くけれど、今日も良いものは無いんでしょうね
つまらないという言葉はあなたの口から出るためにあるというくらい、あなたにはしかめっつらがよく似合う

海の見える公園には何もなかった
日本海沿いの山はなだらかで、スケートボードをしている男たちがはしゃいでいて、今にも雨がふりそうだった
山のみどりは、
(そこになにかがあることになるのだろうか)
遠くに灯台がみえた

ハルシオンは下品な花で嫌い
覚えていることは、今はそれだけ


自由詩 夏来る Copyright マチネ 2016-05-14 12:00:23
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