ねこの死んだ夜
04

みぎひだり ほろけた蝶 比翼と過ごした私と猫と
靴ひもを 結ばぬ怠惰に 縁丸く濃紺に矢継ぎ早な窓辺から
線路沿いに不明な景色のなか
命ひとつを浮かせて身から剥がし終えたと

ひととせを十は巡りあった春に
たらふく食べた眉間を撫で終えて
穏やかに胸鳴らす合間に別れた

最後の夜 変わらぬ背筋を つかづはなれづ向けていた枕元右の上
凛と、ふん、と かわいくないまんま
かわいくないまんま 故へ出かけて行った


自由詩 ねこの死んだ夜 Copyright 04 2016-05-07 18:56:09
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