風談義
ただのみきや

もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だけど風ほどの気まぐれ無責任はいやしない
群れて飛ばされりゃ悪い想像は避けやすい
からっぽキラキラのシャボン玉さ せめて
タンポポの綿毛なみに内に持ってりゃいいが
どこへ落ちても生きてやるって矜持と一緒に
だが悪いところへ吹き溜まると
あらかた二手分かれる
「あのころは良かった」と
「おれたちは騙されていた」に
ほんの一握りだけ「自分の選んだこと」は
だからおれは風を見張るだけ
風向きを示してはやるが 風には乗らない
くるくる向きを変えるのは
おれじゃない 風の仕業さ
もしもおまえのように翼があったら
逆らってもやろうってもんだが
お互い生まれは選べない生まれた時代も
吹く風も止められやしないが
風が無ければ世界は死ぬ
生きてりゃ世界にゃいろいろある
風の善し悪しなんて地球にでも聞いてみな
それでも善し悪し決めたけりゃ
決めればいいさ 自分の分だけは



             《風談義:2016年4月23日》











自由詩 風談義 Copyright ただのみきや 2016-04-23 21:28:51
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