おぼえがき
大覚アキラ

目を閉じて
目を閉じて再生する

晴れ渡った空の深い青と
瞼の裏側に焼きついた残像

風に散った桜の淡いピンクと
足元に積もった枯葉のグレー

晩冬の風の冷たさと
陽射しのぬくもり

涙と
ほほえみ

真実と
偽り

信じうるものと
騙されても構わないと思えるもの

生ビールと
梅酒のお湯割り

いまこの瞬間と
10年先の世界

煙草の煙と
刺すように冷たい夜の風

環状線の改札と
タクシーの「空車」のランプ

アスファルトと
床暖房

声と
文字

目を閉じて
目を閉じてもう一度再生する

瞼の裏に焼きついた
青空の残像

雪が舞う
真っ青な空に

さあ
ほんとうのことを

ほんとうだと
信じることができるものを探しに


自由詩 おぼえがき Copyright 大覚アキラ 2016-04-22 21:59:17
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