オーライ・ナッシング
竜門勇気

どっちかの理由で選んだ
どっちかはどっちかでしか無いんだ
二つたまたまそこにあった
もう僕は盲目
そいつらはどっちもナッシングの類さ

いいぞ 駄目野郎
翼はないけど羽ばたけるさ
寒くもねーのに震えてるのさ
瞬きする間に考えなんか変わってる
そんなことしてる間に
消えそうな世界を抱いてしか笑えてねー

結局誰かの都合で選んだ
誰かの都合は僕のと違うみたいだ
わざとの一人ぼっちで
アリバイもないよ
誰かを傷つけたかも殺したかも

いいぞどーにもならねえクソ野郎
ナッシングを靴の中で隠すんだ
眠くもねーのに笑ってるのさ
悲しくはねーけどドアを開けるんだ
自分についた嘘が?
僕を訪ねる?
何をしに?

見えない部分 世界の部分
半分見えてるその悲劇も
目を開ける前に見える闇の残像だ
今は一体どっちの世界なんだ
呼び寄せて 招き入れて
寝床まで用意した
いいぞナッシングこっちだ

こっちだ こっちにこい
こっちにこい こっちにこい
いいからこっちにこい
自分についた嘘が僕を訪ねる?
みんなここにいるみたいだ
こっちだ こっちだ
こっちで一息つけ
いいからここにこい なんとなく
どんな希望も夢ももうねーぞ
居座りたいほーだいだ
呼びたい奴らを連れて来い
空っぽだらけで退屈しねーぞ
どっちかなんてなかったんだ
決まってたんだ
盲目は獰猛だったんだ
追い出したよ
自分についた嘘はそれ以外の嘘に比べて
すごく優しい
盲目が獰猛だったみたいに

こっちだ みえるだろ
こっちにこいよ
僕が嘘だらけで盲目だったって
獰猛で嘘が好きだなんて信じるなよ
ナッシングはここになきゃ駄目なんだ
心の真ん中にいつもいなきゃ
こっちだここだこいよ
僕はこっちだここだ訪ねてよ
名前を呼んでふりむくのを待てよ
いいよ ナッシング
僕のもんになれよ


自由詩 オーライ・ナッシング Copyright 竜門勇気 2016-04-22 12:06:49
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