ポケットに詰め込んで
花形新次

海岸に沿った
緩やかな下り坂を
自転車に乗ったきみが
麦わら帽子を
左手で押さえながら
駆け抜ける
両足が離れたペダルは
クルクルと空気を
掻き回している

きみの後を
女性警官を載せた
小さなパトカーが続く

サイレンと声は
波に吸い込まれ、消える

今日のきみの収穫は
パンティ二枚

一枚はシルク
もう一枚はレース
どちらもうっすら
形跡が残る

東山田利雄、五十二歳

夢は
左右のポケットに
詰め込んで





自由詩 ポケットに詰め込んで Copyright 花形新次 2016-04-17 22:26:30
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