秋
哉村哉子
海岸線が
あったはずじゃあなかったのか
爪先ばかりが切り落とされて転がっている
早く食えと差し出している手の青さ
困ったように笑う口の中に
取り戻せない爪先を押し込んだ
海岸線は見つけられなかった
丸一日歩いたのに
どうしても見つけられなかった
爪先はもうない
自由詩
秋
Copyright
哉村哉子
2016-04-17 15:45:49