無い浜
なけま、たへるよんう゛くを

遠のいていく
まだ舟だとも言い切れぬままに
来た林に戻ろうか
踏ん張りたくなどありゃしない
じゃあこの壁にだ
打ちのめされていよう
ここら一帯の木は黒ちゃけて
叩くと気持ちの良い堅さ
砂の上は暑すぎる
浸かってしまうとどうでもよくなる
見るにどちらでも一種危ない試み
見えない彼岸に高望み
蟹のツッコミ
一円の細胞たちと目の粗い
この砂粒らの前に人は為すすべもなくでかい
手が出せないのだから何をしても
何に気付いても汚れるほどの
養分にもなっちゃない掴んでも
掴みきれようはずもない
でもでも
つられ流れ出ていけば話が別
そこへきてここよまだやっぱり境のうえだから
映る営みみんな本当は知らない他人事だから
後ろ手をついて倒れるに足る
賑やかに拍子切れ目なく
また取り囲むので無いのと同じ
向こうの向こうは見晴らせば
似姿の続きで追うには辛し
流木は乾き切りぼやく限り
現身も陸よりの漂流物
汗で居るに留まれん汗
雲で居るに留まれん雲
風が口の中へ忍び忍び
夏であらぬに耐えぬ絶えん
緩やかに急かされる
間延びした筋骨
煮崩れ起こす
難しくなりすぎてた組織だけちぎれて風化
浜辺、南方、灼けるよな
痺れた手に成る双眼鏡に
故障が捉える宝島
船足は壮途、天晴れ痛快
二度とは帰らぬ、一度と行かぬ
羅針盤とブロッケン
辻切りのタイフーン嬢
鳥瞰図、自由行動
散光、全一、盲目
ありったけ泳いでおよそサンゴ
目の前の何ひとつとも目が合わない
目と目が会わない
浴びるほど
浴びるほど

陽に刺されたんだ動けない
なあ 僕の責任かい


自由詩 無い浜 Copyright なけま、たへるよんう゛くを 2016-04-12 13:16:00
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