白い花
もり



きみにもたぶん

色んなことがある

公転と自転をくり返し

わけがわからなくなる日ばかりで

砂時計を抱きしめたまま

大気圏を突破すると

今度こそ本当に笑うよ、と言う

その顔がすでにすてきすぎた

白衣を着たチンパンジーと

ハイタッチを交わす

0.1秒の

サブリミナル

だから

目を開けていようよ

最高気温22℃予報の日に

窓から雪が落ちた

「コブキの花だよ」

日付変更線をこえて

「あの花名前なんていったっけ?」

「コブキの花だよ」

しなだれたのは

なにを背負ったからだろう

握られた拳のなかに

「コブキの花だよ」

白い花

ふたりが 手をつなぐ日は くるか

逃げたことで

ひたすらに逃げたことで

皮肉にも また向き合ってしまって

出会ってしまったふたり

送られてきた 写真

「あなたが植えた、水仙の花だよ」

「あなたが植えてくれたんだって、
喜んでいたよ」

思い出す

蚯蚓の世界を侵略した日

雑草のように生きたいと願ったあの日

そうして詩を書いたんだったね

そういや あのときも逃げてたね






自由詩 白い花 Copyright もり 2016-04-08 20:33:25
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