あのひとは
うめバア

保育園で見るあのひとは
運動会での子どもたちの勇姿に涙し
ママの苦労談を聞けば肩を寄せる

朝も夜も、送り迎えには笑顔で
自転車をこぐ、よきママで
人の良さそうなパパだって、ひょっこり顔を出す

先生たちの真剣な話を顔をゆがめて聞き
発表会では精一杯のエールをおくり
ともだちの子にも声をかけて
大きくなった、こんなにと
また、涙する

そんな
「すてきなあのひと」は、しかしなぜか
私が何度あいさつしても
時に話しかけすらしても

まるでわたしなど、そこにいないかのように
透明なガラスをすりぬけるかのように
そして、それとは簡単にわからぬように
私をずっと
無視しているね



自由詩 あのひとは Copyright うめバア 2016-04-02 07:46:55
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