滑走路
元親 ミッド

二本の平行棒の前に立つ。
 
足を少々引きずりながら、ゆっくりと進む。
 
二本の平行棒は、滑走路だった。
 
まばゆい朝日に照らされた滑走路だった。
 
朝露が散りばめられて、誘導灯になっていた。
 
実際、窓の向こうでは、一機の旅客機が
 
急な角度で上り詰めていく。
 
それを細めた目で追いながら
 
僕も今、滑走路をゆっくりと進む。
 
 
 
二本の平行棒は、滑走路だった。
 
羨望の明日への滑走路だった。
 
リノリウムの床は、草原のようだった。
 
風は凪いでいるはずなのに、乱気流でもあったか
 
急に煽られてバランスを崩しそうになったけど
 
なんとか堪えて、体制を立て直してテイクオフしようと
 
滑走路をゆっくり進む。
 
今は、足を引きずってはいるけれど
 
滑走路の先に自由が見えたよ。
 
もうすぐ届きそうなんだ。
 
今に飛び立つんだ!


自由詩 滑走路 Copyright 元親 ミッド 2016-03-28 14:45:55
notebook Home 戻る