爪を切る
藤鈴呼



要らぬ部分だと カットした余白に気付いて
愕然とする

甘噛みだから
痛みなど 伴わぬものと 信じていたのだ


砂の上で 虹を眺めるように
私は 自由だ

繰り返された 筋の向こうに
浅く 喰い込まれた 板が見える

この上を 調子良く 滑りさえすれば
全ては 上手く 行くのだ

廻る羽に 補われるかのように
捉えられた 憂鬱の言葉は 輪廻

途切れた呪文の先に 唯一 残されし
最後のチャンスを 拾えるのは 落とされた 爪だけ

それだけに 詰めが甘いと 責められても
文句は言えぬ

摘めなかった 花の名を あれこれと 考えて
夜も 眠れなかったから

三日前の 睡眠不足が
未だ 祟っているんだ

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自由詩 爪を切る Copyright 藤鈴呼 2016-03-21 20:56:45
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