目交い/そして
ただのみきや

近づくこと
遠ざかること
 
 暗い 
    音節の 
  蝶番

止まることを拒む

海の裾のドレープ
駆けあがる白い泡

絶えまなく
描き直され
     拒みながら
     受け入れて

曖昧な境界

  侵略する
    愛撫する
    押し返す
  崩れ去る

固く建てられた都市と
幻想の海原の果ての島

彷徨うカモメの
血迷うカラスの

  見失った互いの
  透き通った被膜

不可分に殺し合い和解する
一つの線
   終わりのないダンス

 少し離れた
   砂の乾くところ

抉るように直線を刻み
爪先立つ
暗雲に包丁を向けた女の
 
  瞳の端に 
  消せない

   砂の城と
   小さな背中
   
    波打ち際に溶けて




        《目交まなかい/そして:2016年3月19日》







自由詩 目交い/そして Copyright ただのみきや 2016-03-19 19:16:50
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