片想い
ヒヤシンス


 丘から見える遠い園生は純白に染まり、
 私の吐息と重なって淡く輝いている。
 手前に見えるロココ調の建築物はそれ自体が見事な絵画のように
 緑一色の額縁で装飾されている。

 丘の上にあるゴチック様式の建物は頽廃の匂いがする。
 ここでの私の吐息は寂びれた灰のようだ。
 街並みの傾斜がこの違いを生んでいる。
 まるで季節から違うようだ。

 冬の丘の上で春を見ている。
 春に憧れて冬に生きている。
 季節は巡るが心は冬に土着している。

 美しい色に輝く遠い園生は、
 永遠の恋人のようだ。
 私は今、恋をしている。

 

 
 


自由詩 片想い Copyright ヒヤシンス 2016-03-19 04:37:13
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