ヘレン
スカートはしる

地球の瞼の中
君はまだ眠らない
君の脈拍だけがうるさいほど
時は水底に泥濘を成している

月は、もう長くない
誰も新しい命を止められない
美しい響きに目眩まされた凡夫が
また一人白んでいくのだ

英霊の歌は鋼鉄を打つ音に消えた
ステンドグラスから差す陽を人は恐れた
夕景を待ち焦がれた炊飯の匂いすら、
そこでは強く叩くノックのようですらあった

もう、顔が見えない
僕たちはすべてリセットされて、
また赤ん坊になるのだ
次はその輪郭を撫でて、
本当のことを教えて


自由詩 ヘレン Copyright スカートはしる 2016-03-08 01:28:33
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