裏切りのないキス
宣隆

壊れていく足跡から
息を切らして逃げて

鍵をかけた扉に背を向け
昨日までの灯りを消した

誰に聞かされたのか
振り返ることは苦しい

時計の針を追い越して
洪水のように震える鼓動が
胸を押し潰す気がした

責任と覚悟が持つ意味は
ウイスキーに浮く氷が
時間とともに薄めるような
曖昧さで混ざりあった

言葉足らずの願いを
投げかけた明日に
どこまでの未来を
追いかけることが
許されるのでしょうか

だけど今は

裏切りのないキスに
身を委ねる





自由詩 裏切りのないキス Copyright 宣隆 2016-03-07 13:07:13
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