仮面の裏
あおい満月

何かが走ってくる。
私の背中を目掛けて。
その何かの手には、
何が握られているのだろうか。
追われている感覚を覚えるたびに、
私は自分を切り捨てたくなる。

この腕を、脚を、胸を、鼻を、
切り落としたくてたまらない。
誰も気づいてはいない。
私の仮面の裏に隠された、
冷酷なまでにかなしい魂を。

走ってくる何かが、
私の背中を突き抜けていく。
切り落としたい衝動が、
何かの使命感に変わるとき、
私は天上から、
懐かしい優しく強い声を聴く。




自由詩 仮面の裏 Copyright あおい満月 2016-02-13 22:49:59
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