鷲田

風は光と影に囁き
透明な空気を細やかに主張した
何故なら
ある歌の中では 黒が白となり
ある叫びの中では 赤が青になるからだ
透明感のある言葉は一体どこに隠れたのか

人の主張は圧縮された方向性である
俺は俺の声で目眩を起こす
太陽の陽の火照りと地面の陰の冷たさに
“やめてくれ”
“やってくれ”
と声を荒げる

人々は息苦しく、騒がしい
今日も世界を彩ろうと望む
透明な酸素は私達の生きる術である

電車の音がなる
車の音がなる
飛行機の音がなる
風が全ての音の犯人であり
風が全ての仕組みの骨格である

孤独の愛おしさ
それは身勝手な絵画のようである
私達はまだ世界の回転を止められていない


自由詩Copyright 鷲田 2016-02-09 23:22:20
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