冬のうた
Lucy

ある時
私は気がついた

私は
鳥ではなかったと
羽ばたき方も
囀りかたも
思い出せない

確かに
飛んでいたはずなのに
しなやかな翼に風をはらんで
束の間の夕焼けに
淡く染まったあの冬空を

胸に込み上げる思いを
高い梢で歌っていた

日が暮れて
枝につかまるやり方も忘れ
地面に横たわったまま
来るかもわからない朝を待つ

気付かなければ
あのまま鳥でいられただろうか
飛んでもいないのに
飛んでいると思い込み
歌ってもいないのに
歌っていると思い込んでいた

あの日々に

愛してもいないのに
世界を
愛していると思っていた

愛されていると
信じていた







自由詩 冬のうた Copyright Lucy 2016-02-07 22:50:21
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