今日一日
鷲田

空が蒼ざめている
真っ青に蒼ざめている
太陽は全身の裸体を輝かせ
庭には緑の木が生い茂る

道路には車が行き交う
人の感情は車に乗り込んだ瞬間に機械となる
目的地へと向かう中
涙や笑顔は速度で蒸発していく

街は何時も通り照れ笑いしている 
活動している 流転している
個が集団へと変わり 表情に多様性が生まれる
この街には色々な生活が溢れては消えている

私はその中を歩く
今日の一日は始まりの一日
何時だって今日は始まりの日である

鳥が南空に向かって羽ばたくように
窓から新しい景色が見えるように
新鮮な 大胆な 繊細な始まり 
つまり、それは何時だって今日は人生の始まりということである

昨日も私は歩いていた 長くて短い道程を
昨日の一日も始まりの一日だった
昨日感じた初めての感覚がそこにはあった
私は未熟だから まだ熟れる必要があったのだ

明日も私は歩く 険しく優しい道程を
明日の一日も始まりの一日になるのだ
明日行う初めての行為がそこにはある
私は未熟だから ここに時間が残されているのだ

私達は何時までも新たな1日を歩くことで
この人生という形の無い道を燃やしていく
存在するために
生きる姿を示すために 
そして、生命という闇に灯を照らすために

踏みしめればいい 
踏みしめていけばいいのだ
一歩一歩を 
見果てぬ彼方まで
今日という一日 
未来という自らに与えられた道程を


自由詩 今日一日 Copyright 鷲田 2016-02-07 18:48:20
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