アラガイs


夕焼けがにじむ
夜になれば身体の芯まで冷えてくる
焼酎の湯を沸かし買ってきたアルミの鍋に火をかける
このところ一人用の鍋ばかりつついている
アルミは潰せるので簡単だがプラスチックやトレーはそうはいかない
一枚のゴミ袋はすぐにいっぱいになる
早朝のゴミ出しは苦手だ
できるだけ匂いを消して深夜にこっそりと出す
これは気が引けるもので
前方から車が勢いよく近づいて来たりすれば、わざとらしくライトを照らしてみたりする
こんな寒い夜の午前0時過ぎに夜をうろつく者はいないのだ
窓を少し開ければ外の冷気は容赦なく台所の温度を下げる
沸騰してきたら粉末のかつをだしと水を足し味醂を加えてみる
煮込み過ぎてもいいのだと酒に酔う
何かが足らないのか
それとも余計な味付けをするからか
鍋の後味にはいつもしょっぱさが残ってしまう
…具材は余らせない…
ひとりで食べる母親を思ってみたりする
…土鍋も使わなければ邪魔になり…じきに灰になる
夜が呟いた
焼酎の湯割は身体を温める
汁をすすると
白菜に薄い鴨肉の切れ端を口に放り込んだ。








自由詩Copyright アラガイs 2016-01-27 00:54:26
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