ライトバース的な閃き、いやバースは一塁やんか
もり
4番 ライト 希望
4番 ライト 希望 ────────
青春の延長線上 土俵際スタジアム
7回表2アウト
追い込まれた
チームこのおれ 対する人生
103000
016332
4-15
ここで一矢報いないとコールドゲーム
泣きながら人工芝を口の中に詰め込むなんて比喩でもなんでもねー
はじめからワンサイドゲームだったわけじゃない
先発ピッチャーは早々に引きずりおろしてやったし
「いけるかもしんねぇ!」
けど2番手の、あのポーカーフェイスな現実ヤローの変化球に
おれのバットは
森で突かれる銛のよう
横っ腹を切り裂く、高速スライダー
就業規則が内角ギリギリに決まる
ホームベース手前で
消えるっ
フォークボールのような恋
真っ直ぐが、真っ直ぐじゃない
真っ直ぐが、揺れているレールの上
芯を外されて 外野フライ ボンダボンダボンダ
ライトスタンドには、
鼾かく神様 ────────
はじめからワンサイドゲームだったわけじゃない
いいときもあったし、輝いたような気もしたんだ
そう、だからこそ
だからこそもう終わりなんじゃないか もう終わりなんじゃないかおれ
おれ終わる まじで終わるんだおれ あいつらみたいに?
終わるんかおれ あー終わる やべ終わるわ終わるまじか おれが
不安が現実味を増す
泥だらけのユニフォーム
熱血スポ根モノには
遠く及ばないけど
手のひらにはそこそこのマメ
ちょっとずつタイミングが合ってきてる気はするけど
うん、まぁ
ちょっとずつタイミングが合ってきてる気はするけど
いや打てるってまじで!
思ってるうちに 振りかぶって
思ってるうちに 1ストライク
思ってるうちに 2ストライク
「さぁ追い込まれました希望」
「ピッチャー第3球を、投げた!」
「ファウル! 」
「何とか食らいついて粘ります」
ファウル!
ファウル!
ファウール!
またファール!
ファウルボール!
きれるかきれるか!・・ファウル!
ファウル!
ファウ ーーーール!
ファーーー!!!!!
・・っぐえっほげほ。申し訳ございません。
ファウル!!
ファ・・
打ったぁあああ
打球はボテボテのセカンドゴロ!
だが折れたバットが
ぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びるぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びるぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びるんぐ
ぐんぐん伸びる
ぐんぐん伸びるぐんぐん伸びる!
ぐんぐん伸びて・・
ライトスタンドの神様の鼻ちょうちんを
割る
それに怒った神様が
雷と槍と雪と札束と雹と片栗粉を
いっぺんに空から落とした。
無効試合になった。
すべてがすべてが無効試合になった。
「ふりだしに戻る」
おれはユニフォームを脱いで
帰る支度をした