懐中電灯
アラガイs


電気が走れば怯える鼠たち
眠っていたはずの溶岩も溢れ出て
重い空は赤く染まる
雲に隠れて浮かぶ月がパックリと半分に割れ
棘のある蔓に絡まり裸の女が地上に降りてきた
綿は白い露を滴らせ雨は褐色に変わる
流れ下る溶岩と赤い泥水が斜面で交わるとき
殻が弾けて樹液にまみれた黒い小牛が沼に落下する
陽が射せば女は石になる
焼けた烙印の後を追うように
吠えながら犬は山中を走り周り
猫は石垣の上からそれをじっと眺めている
空を取り戻せば
羊たちは眠る
木の実を食べる猿だけが微笑んでいた 。










自由詩 懐中電灯 Copyright アラガイs 2016-01-26 03:53:20
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