青いセーター
opus

まず目がおかしくなった
そして、
耳が
最後に鼻が

青いセーターの上に
鼻血が垂れる
ぼたぼたと垂れる音が聞こえる

青いセーターは
アンナが2年前に編んでくれたもの
アンナは2歳年下の
幼馴染で
2年前に死んだ
セーターを編んでから

セーターは
僕に向けられて編まれていた
編まれたセーターの上に
紙が添えられていた
「これはあなたに。」

僕はそのセーターの事をとても気に入った
勝負の日や
悲しい日、
楽しい日や
苦しい日
いつもそのセーターを着た

セーターは段々と色褪せ
ほつれていった
そのほつれに触れて
彼女が言った
「もう捨てたら?」

そんな事を言うなんて
信じられなくて
僕は泣き出して
泣きながら
彼女の頬を殴って
顎を
腹を

気付けば
体を拘束されて
動かせないで
涙が出て

その夜に
暗闇から
声が聞こえるから
何だと思ったら
アンナで
アンナが裸で立っていて
近づいて来て
キスしてくるから
僕は舌を出して
それをアンナが吸って
舌を絡めて
性器にふれると
ヌルヌルしていて
中に挿れて
上下して
それはとても気持ちが良くて
僕は果てた

家に帰ると
アンナの元恋人が待ってて
僕の家のありとあらゆる物を
破壊していて
その中には
アンナの写真もあって
この写真は何だ
と言うから、
アンナの最後だよと
「君も、アンナの親も知らない
僕だけしか知らない
アンナの最後」

その時、
アンナの元恋人の拳が
僕の鼻を撃った
痛いけど、
アンナもこんな痛かったのかなぁ
と思ったら、何か笑えた
青いセーターに血が垂れて
染み込んでいくと
何だかアンナとひとつになったみたい

顔をあげて
こう言った
「どうして、
アンナはこのセーターを
僕にくれたと思う?」

アンナの顔の一部を
ひとつずつ潰していった
その様子を僕は撮った
顔の一部を潰すたびに
性器は湿りを増した

「ねぇ、綺麗に撮れてる?」
「撮れてるよ」
「ありがとう、愛してるわ」

そう、わかってたんだ
アンナが
自分のことしか愛せないなんて事は




自由詩 青いセーター Copyright opus 2016-01-24 20:06:48
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