ピノキオ(欅の少年)
アラガイs


冷たい風が鼻を折る
国道を挟んで対面から歩いてくる
久しぶりに見た欅の少年
あれはいつか晴れた日の青空に
いつも手を引かれた二人連れ
くねくねと大きな身振りと直角に折り返す手足
何かを呟きながら歩道を歩いてる
相変わらずだな
でも一人で歩けるようになったんだ
母さんは元気かい
彼を横目で追いかけながら
マスクで鼻を覆う
今日は冷たいよ
ペダルは重いけど
帰りは追い風だから少し楽だ
俺もまだ生きているのさ
少年は褐色の首を傾げたまま
脇目も振らずに歩いて行った 。










自由詩 ピノキオ(欅の少年) Copyright アラガイs 2016-01-23 02:21:47
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