覚悟
鷲田

覚悟を持て 覚悟を持て

覚悟とはギリギリの命の欠片の端くれを
決してはなさない心の態度
心には態度が必要なのだ
今日を見るのは目であるが
明日を見るのは心の中だ
動いているものを見るのが目であるなら
動かない意思を作るのは心の中だ

生活という日常を習慣化するために
出来事に反応しない器の入れ物を作り
ベルトコンベアーで日常を回しながら
革新を目指すために
新しい世界を構築する表現を行い
詩人の捨て去る言葉の切れ端を飲み込む

生きることとは覚悟をすることだ
背負った幾多の物語を運び続けることだ
本能が求めているのはリズムだ
決して喜怒哀楽のみの感受性に彩られた世界だけではない

自由は若いのだ
自由は憧れで作られているのだ
自由を羽ばたくことは死への憧れを楽しむ
快楽という罪悪感の消化だ

覚悟を持て 覚悟を持て

さもなければ彷徨い 
彷徨うと感情が溢れ出て
午後の街中を傷を背負って歩く
若しくは殺しながら歩く
通り過ぎる他人の足跡を
日常の風景達にことごとく怯えながら、
そして一方で憧れながら
繊細さと同居する感覚に犯されていく

覚悟を持て 覚悟を持て

鋭敏な感覚を鈍感という度量に変えるため
単純な物事のリズムにスタッカートの変化を付けるために
臆病の業がさせる技術の特訓を辞めるために
言葉にならない思いを繰り返して言葉は重量を身に着けていく
強度を身に着けた我らが理想の人間だ
理想の明日を作る我らだ


自由詩 覚悟 Copyright 鷲田 2016-01-03 21:54:04
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