予兆
たけし

なんにもない なんにもない地平に
ポカン ポカンと突っ立って
何から始める?
何かが始まる?



黒い山の窪みに一つ
ターコイズブルーの湖出現再び
連れの老婆はとっくに
街道脇で灰になり
吹き飛ばされたスッカリスッキリ
俺は暗い山道を
独り落ち着き払って走り降り
いつの間にか湖の中
足を洗い全身を浸す

ネットリとウットリと

引き込まれる!引き込まれる!

青紫の光彩渦巻く中央に二つ
滲み交合、銀の縁取り
魅惑の手招き、ソコへ底へ
引き裂かれていく思考と感情
形式化された空虚な自意識
一連の映像侵入し埋め尽くす

 冷えた鉛の太陽 
  崩れる円と三角 
   風化される岩盤地層 
    亀裂の地球は真っ二つ



なんにもない なんにもない地平に
ポカン ポカンと突っ立って
何から始めた?
何が始まった?


自由詩 予兆 Copyright たけし 2016-01-02 15:19:37
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