みどり みずいろ
木立 悟






草の下の街
葉の影の底
光の板の重なりの塔から
三つの時間の羽がひろがる


子らは右を駆け
川は左を流れる
原が 水草が
光と光のまばたきを追う


水の直線
夢と夢を分ける径
遠去かるものばかり
ただ 背を向けるものばかり


葬列の径は曲がり
小さな店の裏口へと狭まり
抜けると別の径 別の街
けれども同じ 草の下の街


何に向かって吠えているのか
荒んだ声が何処からか来て
空を空に
光を光に重ねてゆく


虹が激しく現われては消え
雨は降り陽は降りかけらは昇る
ひらくもの 結ぶもの
手のひらの熱にそよぐもの


水の線の境いめに
雪は積もり 明るくなり
見えないほどまぶしいかたまりになり
子らと水草のふちどりを揺らす 



























自由詩 みどり みずいろ Copyright 木立 悟 2015-12-28 09:21:11
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