キー坊
レタス

彼は四歳上の
隣の家の長男だった
何時も鼻水を垂らしながら
風のように疾走していた
ぼくと二人して
アメリカザリガニをバケツ一杯釣って来ると
彼の親爺さんが全て茹でて食べてしまった
隣からは何時もタヌキ囃が聞こえてくる

キー坊は中学を卒業すると
喜楽という中華料理店に弟子入りをした
十年修行を積んで
彼は独立を果たした
ぼくは彼の作った料理は食べていない

今頃はどうしているのだろう
きっと炒飯でも振っているに違いない


自由詩 キー坊 Copyright レタス 2015-12-22 21:56:50
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