雪と信仰
初谷むい



手放しにきみを信じるあおぎ見る初雪はある種の花だった

そらみみで振り向いていてすしすしと笑っているのを許していてね

改札で優しくするのはずるいって思うよ耳をたたんで蓋する

信仰してるっていうのは告白に当たるのですか。ことば捨てたら

雪降ると道明るくていいねって神様ゆるしてあげる夜です

いつか幸せになってね風邪の咽喉気づいてあげられなくてごめんね

きみのえくぼ食べる夢見て目が覚めて少し泣いちゃったのね、あの朝

雪の結晶観察キットの代わりのよく冷えた黒いきみのコート

雪原をわたるかみさま 電源をつけたらきちんと名前がひかる



あなたはわたしのかみさまだった



短歌 雪と信仰 Copyright 初谷むい 2015-12-21 00:41:23
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