前朱夏
藤山 誠

コンビニでタバコの銘柄を、聞き直されることが増えた。
滑舌が悪くなったのかもしれない。
一回で聞き取れない店員に、イライラするようになった。

動きが遅い店員に、イライラするようになった。
弁当を温めない店員に、イライラするようになった。
箸をいれない店員に、イライラするようになった。
温かいのと冷たいのは別の袋だって言ったろ。

素直に気持ちが書けるようになった。
気持ちを表現する言葉がすぐに見つかるようになった。
でも、なんだかよく分からない気持ちは感じなくなった。
一人で面白い言葉で笑う事も少なくなった。
ぷくく。

ご飯はそんなに食べない。
冬がとても寒い。
暗いと、モノが見え難い。
一言目には時節の挨拶。

金属疲労のヒビに似たやつが、
俺の魂にもいっぱいくっ付いていて、
鈍色の削りカスみたいなやつが、
ボロボロ落ちてく。

七色に光り輝く俺の魂は、
もうどこにも失くなってしまって、
身体中にオッサンとよばれるヌルヌルしたやつが、
纏わり付いて息ができない


自由詩 前朱夏 Copyright 藤山 誠 2015-12-14 18:40:07
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