冬のはじまり
葉leaf




冬の匂いがする
滴るような
透き通っていくような
人が声を聴きあうときに
吐く息によって動かされて
人の神経に届くような
さびしく遠い匂いだ

冬が降っている
根源的な和解を示すように
この明るい陽射しを遮ることなく
冬が降った後にその軌跡に交わり
大地と水平に表情の流路が開かれる
今や表情は循環する時間のようで
人は敵のまなざしを捨てた

冬が潤った
愛がその孤独の内部から
人との共生の場へと躍り出て
冬の抱擁に巻き込まれるように
人は互いの愛で抱擁しあう
どれだけ距離があろうとも
愛の潤いは肌を湿らし
人の存在はすべて混じり合う


自由詩 冬のはじまり Copyright 葉leaf 2015-12-12 15:06:55
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