銀の星
umineko
床に
散らばる水銀を
指先でなぞる
あり得ないやわらかさ
さわっちゃ駄目
それは
爪のすきまから
毒になって体中を
銀が回るよ、と
母の言葉が
だから
ずっとさわれなかった
なぜだろう
もう何もこわくない
背骨の曲がった魚の夢を
たくさん 見てきた
小さな
銀の星粒を
手のひらにおく
飲みほして かまわない
あなたがいないから
どうだっていい
自由詩
銀の星
Copyright
umineko
2005-02-18 23:03:02