闇路
レタス
ヤモリの張り付いた電信柱が
オレンジ色の灯りをともし
夜の歌を静かに歌っている
夜の秒針を刻んでゆく
ぼくは落ち着けないでいた
あの中華そば屋までの果てしない
道のりは
とても遠くて
静脈が破裂しそうだった
応急処置として
ぼくは時計のネジを締めて
取り敢えず
歩くことにした
途中には
喪った姉様や
祖母が
意味の無い歌を歌っていた
ぼくは止血をしなければいけないので
立ち止まっては包帯を締め付ける
ステンレスのボルトがあれば
完璧に止血はできるのだけれど
かなわない夢のまた夢
ぼくを診てくれる病院はない
何故かといえば
ぼくは狐のお面を被る
幽霊のような者だから