闇路
レタス

ヤモリの張り付いた電信柱が
オレンジ色の灯りをともし
夜の歌を静かに歌っている
夜の秒針を刻んでゆく
ぼくは落ち着けないでいた

あの中華そば屋までの果てしない
道のりは
とても遠くて
静脈が破裂しそうだった
応急処置として
ぼくは時計のネジを締めて
取り敢えず
歩くことにした

途中には
喪った姉様や
祖母が
意味の無い歌を歌っていた

ぼくは止血をしなければいけないので
立ち止まっては包帯を締め付ける

ステンレスのボルトがあれば
完璧に止血はできるのだけれど
かなわない夢のまた夢

ぼくを診てくれる病院はない
何故かといえば
ぼくは狐のお面を被る
幽霊のような者だから


自由詩 闇路 Copyright レタス 2015-12-06 00:11:44
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