太陽
鷲田

太陽が現れて、眩しい光が差し込む
  水面に揺れる地平線
  蒼く染まった頭上から

    歴史を振り返ることなく
    生活を語ることなく

  背中には影
  光と同化することを拒否したホモ・サピエンス
  我々は日常を黒く隠している
  儚さを心にしまい、脆弱さと共に

ああ、明るく光る深紅の唇
我々は太陽に恋をしている
  花々を咲かせ、足元を照らす一つの道なり
  果物が育つ土壌の茶色
  街を彩る季節の息吹

万物は太陽だったか
  微塵の狂い無く進む秒針
  冬の陽光の匂い
  空の色を教えてくれた朝の目覚め

    見つめることが出来ない
    太陽も死することも
    それは眩しすぎて
    永遠の形をしている

    聴くことが出来ない
    太陽も生きることも
    それは静かすぎて
    瞬間の形をしている


自由詩 太陽 Copyright 鷲田 2015-12-03 21:33:40
notebook Home 戻る