布団がふっとんだ
溶融







気が付くと孤独が
助手席に腰掛け
こちらを見て微笑んでいた

やぁ
孤独は言った
僕は
どうも
と会釈した


それから
孤独は良く快活に喋るし
時にどうでもいい様な
ジョークを飛ばす


布団がふっとんだ
ハハハハハハハハッッッ
こんな具合に孤独は
高く高く笑った


それでも
孤独との
ドライブは楽しかった
一人ぼっちなはずなのに
孤独といると
何故か
孤独ではなかった

海をみたいと
孤独が言ったから
ぼくは
海を目指して舵を切り
ハンドルを握りしめた

とても素敵な
ひとつの太陽があった
いつの日も
いつの時も

これがヒトリコとの出会い

だった





独子 ヒトリコ



孤独に
独子と言う名前を付けて
僕とヒトリコが結婚式を
終えたのは
10代最後のカウントダウンの
夜でした

周りからは祝福も反対もされず
ヒトリコとの仲はあいも変わらず
良好である

彼女は時に
あまのじゃくで
困り果てたぼくを見ては
よくほくそ笑んでいました
そして
優しく抱きしめてあげると
子どものように照れます
そこがまた可愛いのも
否めませんね

今朝
銀婚式を迎えました

ヒトリコは死ねまで一緒よ
くち癖のように何度も言い

そうだな
君と居るときが何故か一番
落ち着くんだよね

なんでだろう

そして

布団がふっとんだと
決まり文句を添えて


彼女は高く高く笑った










自由詩 布団がふっとんだ Copyright 溶融 2015-12-01 13:48:20
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